からだの予防学「大腸がん」 その②

「大腸がん」は早期発見により完全に治癒する可能性が高いのですが、やはりがんにならないように努めることが最良の道です。がんにならないように食生活の工夫や生活改善などをすることを「一次予防」と言います。診断や検診などで、早期にがんを発見し治療することを「二次予防」と言います。今回は一次予防についてお話します。

動物性の脂肪を多くとると、それを消化・吸収するために、多くの胆汁酸が分泌されます。そのときの代謝産物から発がん物質ができ、大腸の粘膜に作用することで、がんの発生を促進するともいわれています。一方、食物繊維は消化管では消化・吸収されないため、便の量を増加させます。便の量が増えるということは、腸内に存在する発がん物質の濃度を薄めたり、便が大腸を通過する時間を早くするため、発がん物質が大腸の粘膜に接触する時間を短くしてくれます。

さらに、食物繊維そのものが腸内細菌に変化を起こさせ、発がん物質の生産を抑えたり、がんの発生を抑制する働きがあるといわれています。したがって、逆に食物繊維が減少するということは、大腸がんの発生を助長することになるわけです。食物繊維を多く含む食品としては、「穀物」「豆類」「キノコ類」「海藻類」などがあり、特に豆類(大豆・小豆)、キクラゲ、ヒジキ、かんぴょうなどには多く含まれています。食物繊維の目標摂取量は1日20~25gといわれています。

食物繊維を上手に摂取するためには、

  • 主食の穀物は繊維を多く含んでいて好都合なので精白度を低くして、ある程度の量を食べるようにする。
  • 生野菜はかさばって見えるだけで、みかけほどの量の繊維をとることができないので、なるべく料理して加熱した野菜類をたくさん食べるようにする。
  • コンブやワカメなどの海藻類や豆類をたくさん食べるようにする。

―ことが肝要です。食生活の改善によってある程度がんは予防できると予測されています。しかし、がんに対する食物の寄与率は20%程度を推定されています。一次予防を行った方がよいのは当然ですが、それだけに頼っていては100%の予防は保証できません。一次予防を行うと同時に、早期診断・早期発見という二次予防をしっかりと行うことが重要になってきます。大腸がんの場合は、特に二次予防が重要かつ必須だと思います。

(平成12年11月22日 読売新聞夕刊 掲載記事)


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