第1話 あのナポレオンも 避けられない文明病

古代ギリシャ時代の医学の父、ヒポクラテスはその著書のなかで「烙鉄(焼きごて)で焼いて痔を治した」と記しています。またフランスの英雄ナポレオンが、かのワーテルローの戦いで敗れたのは、実は痔が悪化して陣頭指揮の集中力を欠いたせい、という説もあります。日本では、忍者説も語られる俳人の松尾芭蕉も「痔持ち」で気難しく、「御報せ能わず候。昨夜よりも出候。名月散々くたぶれ、発句もしかじか案じ申さず候」と書いた手紙を残しています。つまり「痔が痛くってとても俳句どころではない」という意味で、情報収集はおろか俳句をつくるにも苦労したようです。

人間はこのように古い時代から痔に悩まされています。そして、ヒポクラテスの時代から2400年近く経過した今日でも、痔に悩む人は一向に減少する気配がありません。それどころか、痔に対する知識はいまだ不十分で、自分が苦しんでいる「痔」がどんな「痔」なのかも知らない人が多いのです。こんなわけですから、潜在的な痔主を入れると、日本人の約40%の人が痔を持っていると推定されています。痔がむし歯に続き「第二の国民病」と言われるわけです。

ではなぜ、人間だけが痔になるのでしょうか。以前は「人間が立って歩くようになったせい」と言われていました。しかし現在は「トイレを我慢するのは人間だけ。便意を我慢するうちに便秘になり痔に苦しむようになった」という説が有力になっています。いずれにせよ、人間は有史以来、痔に苦しんできました。しかも、現代人は様々な環境から、ますます気ままに排便できない状況にあります。痔は人間が人間として生活する以上、避けられない文明病なのかも知れません。


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