食事に配慮し早期治療

「そろそろ二人目が欲しいのですが、あのつらさを思い出すとどうも決心がつかなくて」と話し出したBさん(28)。もともと痔(じ)が悪かったというBさんは前回の出産では、相当苦労したようです。そこで二人目の前におしりを治しておこうということで当院を受 診しました。

Bさんが初めて痔を患ったのは学生時代。症状は便秘が直接の原因と思われる切れ痔。初めは市販薬で治っていたのですが、結婚し妊娠したころからいぼ痔になって当院へ。「出産でさらに悪化するかもしれませんよ」と私に言われた言葉が、まさに現実のものとなりました。

初めての出産ということもあり、陣痛が長く難産となり、いぼ痔が悪化、入院中は出産の喜びどころではなかったと言います。

このように一般的に妊娠や出産はおしりに悪影響を及ぼします。それは、妊娠すると赤ちゃんの成長に伴い、子宮が大きくなることと、さらに骨盤の中に血液が集中することなどによって、肛門(こうもん)にも、うっ血が起きやすくなるからです。さらに、便秘にもなりやすく、これが痔核を悪化させる一因になります。

妊娠が進むにつれてどんどん悪くなり、血栓を起こしたり、大きくはれて飛び出したりして強い痛みを伴うこともあります。場合によっては程度がひどく手術を行うこともあります。

さらに苦しんだのがその後の育児期。一般的に、母乳で子供を育てる場合、どうしてもお母さんの体は水分が不足しがちです。取った水分が母乳に取られるからです。水分が不足すると便の水分も少なくなり、固くなって便秘になりやすいのです。

また、母乳を多く出さなければと栄養価の高い食品を取る傾向が強く、知らず知らずのうちに食物繊維が不足、またなれない育児からストレスがたまり便秘になってしまうことが多いようです。Bさんはこの典型的なケースで、痔がさらに悪化したのでした。

妊娠中の女性が痔を患っている場合は、やはり早期治療が一番です。まず、生活は規則正しく、肛門に力のかかる仕事は避けるようにしてください。それから、食物繊維を豊富に含んだ海藻類、きのこ類、穀物類などを多く取って便秘を防ぐように心掛けることです。

このように妊娠、出産、育児といった女性の一大事業がこんなにもおしりに影響を与えているのです。

Bさんの場合は「”おなかを痛めた子”というより”おしりを痛めた子”」といった方が正しいかもしれませんね。


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