構造複雑、最も医者泣かせ

「肛門(こうもん)」の意味をご存知ですか?

漢字の「肛」はおしりの「あな」を、「門」は「出入り口」を意味しています。食物が体内で消化・吸収された”残りカス”を排せつするという役割を果たす器官です。その動きは、便やガスの排出を調節すること。肛門は通常、排便や放屁(ほうひ)の時にだけ開いて、後は閉まっていなければなりません。このような働きを括約機構といいます。

こうした肛門が形成されるのは、胎児が母体の中でちょうどタツノオトシゴのような形になり、体の各器官が形成されていく時期です。下部の方の皮膚が内部に向かって少しずつへこみ始めて、やがて穴のようなくぼみができます。一方、胎児内で形成された腸もそのくぼみに向かって外側に伸び、やがて双方はくっついてトンネルのように貫通して肛門ができるのです。

肛門は、おしりの穴から内側に向かって約3センチの部分をいいますが、歯状線(しじょうせん)という境界線をはさんで、組織が異なっています。この歯状線の外側の方は、体の表面と同じ皮膚に近い組織で、刺激に敏感ですから、この部分に痔(じ)などが発生した場合は痛みを感じます。

一方、歯状線をはさんで内側の方は、直腸の1部であり、自律神経系の支配下にあるため、感覚がありません。ですから、この部分にイボができたり、傷ついたりしてもまったく痛みは感じません。

このように肛門は、わずか3センチ足らずの中に、腸と皮膚の組織が混在し、複雑な構造になっており、診断や治療がとても難しいのです。体の中では最も医者泣かせの部位ではないでしょうか。

肛門に起こるさまざまな病気や治療法について、これから少しずつ紹介していきましょう。


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