生まれつき「穴」がない場合も 肛門括約筋の研究進み医療技術向上

生まれつき「肛門が存在していない」場合があるのをご存知でしょうか。

これは「鎖肛(さこう)=直腸肛門奇形」と呼ばれるもの。胎内における発育段階で、何らかの理由で直腸と肛門とがうまくつながらなかったために発生します。こうした鎖肛の発生頻度は、3000~4000例の出生に対し1例の割合といわれています。

また、一口に鎖肛といっても、その程度は症例によってさまざまです。肛門部の皮膚にわずかなくぼみがあるだけで、肛門管がまったく認められない場合や、外見上は正常であっても、肛門の内側が膜状のものでふさがれていて(膜様閉鎖)、胎便の排せつがなかなか見られないことから初めて分かるケースもあります。

いずれにしても、このままでは排便することができないので、出生後ただちに「トンネル」を掘り、肛門を人工的に作る手術が必要となります。

一方、鎖肛門の患者さんの場合、直腸と尿道や膣(ちつ)との間に穴が開いているケースも多いのです。そのままだと当然、便が尿道や膣から出てきてしまいますから、この穴を閉じる手術も合わせて行うことになります。

術後の排便状態は、病態によってさまざまですが、一般に肛門管が形成されている場合、つまり「未開通の部分が短く、人工的に施すトンネルが短くて済む」場合は、かなり良好な成績が報告されています。中でも、膜様閉鎖の状態なら、この部分に穴を開けるだけで正常な排便機能を取り戻せる場合もあります。

ただし、「未開通の部分が長い」場合は、残念ながら便失禁などの障害が残ってしまう可能性が高くなっています。それでも最近では、肛門括約筋に関する研究が進歩しており、徐々に術後の成績は向上しつつあるようです。


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